“ルーツを感じて” (あおばタイムズ 67)
NHKの新しい大河ドラマ「篤姫」が始まりましたが、私はその舞台である鹿児島の出身です。高校を卒業するまでは、錦江湾の向こうに噴煙を上げる桜島を望みながら親元で暮らしていました。大学入学と同時に福岡で一人暮らしをするようになりましたが、生まれ育った馴染み深い土地と実家を離れ、徐々に社会へ出るにつれ自分をとりまく世界が広がり、いつのまにか郷里である鹿児島や育ててくれた親・家族のことはあまり省みない生活を送るようになっていました。テレビやインターネット・本などを通じて得る多くの情報について考えを巡らせることはあっても、自分自身の歴史やそれを支えてくれた家族や周囲の人々、その時々に置かれていた環境についておもいを巡らせることは少なくなっていました。しかし、たとえ親と離れて暮らし社会的には一人前の大人になったとしても、人の心にはなお、自分の親や育てられた環境の影響が大きく残っているものだと、最近は思うようになりました。
私たちはしばしば、自ら変化し成長したいと望むものですが、往々にして自分を取り巻く”条件”のようなものを否定したくなることもあるものです。つまり、自分が変わっていけないのは、生まれ育った環境のせいであったり、親のせいであったり、他人のせいであったり…というふうに考えてしまいがちです。しかしそのようなおもいばかりでは、今ある状況というのはいくら変えたくてもかえって変化させにくいものです。むしろ状況を変化させるのに有効なのは、様々な要因をあくまでも『自分自身の』問題として考えてみることだと思います。その意味では、親や育った環境といった、いわば自分の”ルーツ”を振り返る時に、その中で育った自分というものをそのまままるごと受けいれてみることが、意外にも次のステップへと進むための大きな一歩になるのではないかと思います。
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