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“「うつ」になった時、どうする?” (あおばタイムズ 56)

 「うつ」になってしまった時、病院での薬を使う治療と、カウンセリングのような心のケアとでは、どちらが大切なのですか?」と、よく聞かれます。今回はこの問題について考えてみたいと思います。
 まず皆さんに知っていただきたいことは、「うつ」というのは誰にでも起こりうる状態だということです。あまり“病気”というイメージでとらえていただきたくないと思います。多くの患者さんを診ていますと、「うつ」はその人の生き方に対するメッセージのように思える場合がほとんどです。決して、「うつ」にならずに済みさえすればそれでよかった…というものではなく、「うつ」を経験することによって多くのことに気づかされたり、それ以降の人生がより素晴らしいものになったりする…そんな、大変な苦労を伴うが、同時に大切な贈り物でもある―というのが、多くの方の「うつ」の本質なのです。
 「うつ」になってしまった時、自らの力で「うつ」からのメッセージを理解することができる場合と、そうでない場合とがあります。カウンセリングは、「うつ」からの“気づき”を得るためにお役に立てるものだと思います。たとえば、客観的にみると仕事のうえでオーバーワークだったり人づき合いで無理をし過ぎているような方でも、ご本人にとってはそれが“あたりまえ”であることが多いものです。カウンセリングを通じて、徐々に納得できるかたちで自分が無理をしていたことに気づくことができれば、その後の生き方が変化して体や心のペースを乱しにくくなったり、よりいきいきと生きることができるようになる方が多いのです。
 ただ、カウンセリングを受けたり自分の生き方について考えるには、ある程度の心と体の“体力”が必要です。「うつ」の症状がひどい時期にそのようなことを試みても、考えることさえも苦痛に感じられたり、かえって心と体が疲れきってしまう場合があります。ですから「うつ」の症状がひどい時のカウンセリングは、あまりお勧めできません。まず「うつ」の苦しい症状をできるだけ早く改善させていくためには、抗うつ薬が現在最も広く用いられている有効な手立てだと言えます。一般的には二、三ヶ月ほど内服を続ければ効果が出てきますので、それ以降は薬による治療とカウンセリングを組み合わせるのが望ましいと考えます。つまり、「うつ」をより早い時期に改善させるための薬による治療と、「うつ」になった経緯を振り返りながら今後の生き方について考えるカウンセリングとは、「うつ」の状態や時期によっていずれも大切な意味をもっているのです。

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“「うつ」は架け橋” (あおばタイムズ 55)

 テレビや新聞で頻繁に「うつ」の話題が取り上げられ、自分の身の回りにも「うつ」の人がいるという方が増えているようです。それは一体なぜなのでしょう?―今回は、そのことが示す意味について考えてみたいと思います。
 多くの「うつ」の原因は何か?~私はそれを、“人間のたましいから心と体へのエネルギーの流れがブロックされてしまうこと”と、敢えてシンプルに表現してみたいと思います。
 私たちは小学校の頃から、あるいはもっと早く幼稚園の時代から椅子にじっと座らされ、何時間も他人の話をほとんど一方的に聞かされて過ごすという生活に慣らされてきました。そんな時期が二十歳前後まで続き、ようやく社会に出て経済的に自立できるようになると、今度は例えば朝早くからオフィスに座って一日中パソコンの画面を見続け、ようやく仕事が終わって家に帰る頃にはすっかり日が暮れてしまっている…こんな、言ってみれば非人間的な生活が多くの人に当たりまえのことと思われているのが二十一世紀の豊かな?社会なのです。
 その時、“たましい”は思います。「こんなはずじゃない。ほんとうは、こんな生活はしたくなかったんだ!」と。…しかし私たちは子供の頃からずっと、“たましい”の声をあまり聴かないようにしながら生活することを続けてきてしまいました。「こんなに天気がいい日には外で遊びたいけれど、我慢して授業を聞かないと叱られてしまう…」、「仕事に明け暮れる日々で何のために生きているのか分からなってしまうが、お金をもらって生活していくためには仕方のないことだ…」。心と体は、たましいの声をシャットアウトしてでも現実の生活を回転させることに必死です。すると、“生きる”エネルギーの本源である“たましい”と、心と体との分離が起こります。それが長い期間続き限界まで達したのが、「うつ」の状態とも言えます。
 「うつ」を発症された方は、ある意味ラッキーです。なぜなら「うつ」は、“たましい”と心と体との間に分離が起きていることを教えてくれるサインだからです。サインに気づくからこそ、人は“何かを改めなくてはならないかも…”というおもいに至ることができます。気づかないままでいれば、ひょっとすると一生そのままで終わってしまうかもしれません。ですから今は「うつ」でない方も、ご自分の“たましい”から心と体へスムーズにエネルギーが通っているかどうかを確認してみることは、たいへん意義のあることだと思います。
 「うつ」は“たましい”と心と体とをむすぶ架け橋の役割を果たしてくれるものなのです。

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