“カウンセリングで起きていること”
「カウンセリングでは何をするのですか?」という質問にはあれこれお答えすることができますが、「カウンセリングを受けるとどうなるのですか?」という質問にお答えすることはなかなか困難です。それよりもむしろ私は、「カウンセリングで何が起こっているのか?」について、難しいのですが可能な限り言葉で表現してみたいと思います。
私のカウンセリング歴は医師としての診療の中から始まったこともあって、以前は“良くなるためのアドバイス”をさせていただくことに重きを置いていました。ですから色々なお話を聴きながら、「こんな事をお話ししてあげたらいいかな?、あんなアドバイスをしたら役に立つだろうか?…」などと考えていました。しかし自分のカウンセリングルームを開いて医療関係以外のご相談も受けるようになると、それだけでは対応できなくなってきました。頭で考えたアドバイスだけでは、とても通用しないケースが増えてきたのです。
最近はカウンセリングにみえる方の言葉をじっくりと聴いていると、自ずと感じるもの、出てくる言葉があるように思えてきました。以前は他人事のように思えていたご相談の内容が、まるで自分のことのように感じられることさえあります。カウンセリングは、自分と他人との境界線を曖昧にさせてくれるところがあります。
私が思うに、人間というのは他人を扱うようにしか自分を扱えないし、また自分を扱うようにしか他人を扱えない―ということです。他人の言葉に耳を傾けることは、じつは自分の心の内にある小さなささやきに耳を傾けることでもあり、それは苦しさを伴う場合もありますが、ひいては自分の心を開放してくれる鍵になりうると思います。
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