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“かもめ食堂” (あおばタイムズ 47)

 『かもめ食堂』という映画を見ました。見終わった後に気持ちがほっこりと温まる、私たちを目まぐるしい日常から引き離させてくれるような映画です。森と湖・ムーミンでも知られるフィンランドのゆるやかな時の流れの中で、人の生き方についても考えさせられました。
 フィンランドにある「かもめ食堂」の主人、小林聡美さん演じるサチエは自分の信じる生き方の軸が“ぶれない”人。けれど、そこに柔軟性を失ってしまうような硬さや他人を拒絶する頑迷さはありません。周囲の人々を受け入れつつ、それでも自分自身が大切にしているもの・なすべきことは疎かにしない。たとえお客が一人も来なくても、真っ白な大きいふきんでお店のテーブルや食器を拭き続け、いつでもお客さんを迎え入れる準備をしていました。そんな日々は、まるで自分自身と静かに対話しているようにも見えます。
 この映画に悪い人は一人も出てきません。あるフィンランド人の身の上話を聞いた日本女性がこう言います。―「人にはそれぞれ、事情があるのねぇ…」。かもめ食堂は、それぞれの人生模様を抱えた人々を温かく迎え入れてくれます。主人公のサチエがそんなお客さん達にかける“いらっしゃい!”の声。それは自分の生きる道を信じている人だからこそもっている、凛とした優しさに満ち溢れているのです。

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