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“言葉のチカラ” (あおばタイムズ 33)

 荒川静香さんがトリノオリンピックで金メダルを取りました。オリンピック開催前、国内のメディアからは他の選手に比べてどちらかというと脇役的な扱いをされていたようにも思うのですが、ある意味見事な逆転劇でした。マスコミや私たちファンの手前勝手な喧噪の渦の中、荒川選手の表情には一貫して「自分のやるべきことに集中しよう」という固い意志が溢れていたように感じられました。きっと終始一貫、彼女は自分自身に対してそんな言葉を繰り返していたのではないでしょうか。
 言葉の力は大きいものです。荒川選手のように自らを高めるためにポジティブな言葉を反芻し、それを勇気へと変えて行くような場合はいいのですが、逆にネガティブな言葉や自分の限界を規定してしまう言葉もまた、大きな影響力を持ってしまいます。
 カウンセリングや心療内科でお会いする方の中にはよく、「私はいつも聞き役で、悩みを聞いてもらうことはほとんどありません」という方がいらっしゃいます。聞き役に回るのは決して悪いことではないのですが、そんなパターンを繰り返してストレスを感じてしまう方が少なくないようです。じつはこのような場合、『私はいつも聞き役なんだ』という自分自身への言葉かけが、余計にその状態を固定化させてしまう場合が多いのです。
 何も知らない小さな子供たちは、その時その時の状況に対してその都度思いがけない反応をします。あらかじめ考えたりはしないので、本来持っている自由な可能性が発揮されやすいのです。そしてそれは大人でも同じこと。いつも「自分はこういう人間だ」と意識しすぎるよりは、その時々に自分がどんな反応をするか楽しんでみるぐらいの気持ちの方が、幾つになっても今まで知らなかった新しい自分に出会える可能性が高くなるように思います。

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