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“まともであること” (あおばタイムズ 31)

 カウンセリングという仕事をしていますと、常に人生勉強を続けていなければならないと感じさせられます。
 私が本を読みながら初めて人間として常識的であること、「まとも」であることの大切さを意識させられたのは、中学か高校の頃に読んだビートたけしさんの『午前三時二十五分』(太田出版)という一冊でした。当時漫才ブームで“ツービート”として人気だったたけしさんですが、深夜の人気ラジオ番組オールナイト・ニッポンでの肉声に触れてその人間性に信頼感を持ち、ぜひこんな人の書く文章を読んでみたいと思ったのがきっかけでした。
 最近の私は、池波正太郎さんの『男の作法』(新潮文庫)や島田紳助・松本人志さんの『哲学』(幻冬舎文庫)といった名著に出会い、ともに生き方について考えさせてくれる良き指針として感銘を受けています。とくに『男の作法』は口述による薄い文庫本ですが、現代人が生きる基本を再確認するのに格好の一冊といえるでしょう。
 これらの本を書いた顔ぶれは、きっと誰もが「成功している」と思える方ばかりでしょうが、私たちはついそういった人々の日の当たる部分ばかりを見てしまいがちです。ところが本を通じて各人の言葉に触れると、いかに人の目に見えないところで日々努力されているか、例外なしに自分本位ではなく周囲の人々への思いやりや気くばりを忘れない人々であるかがよく分かってきます。
 最近明るみに出たライブドア事件を見ていても思うのですが、人間が本当の意味で成功しつづけるためには、お金や物質的な富よりも、それを招き入れることができる心と、その心がもとになって表れる日々の行動こそが本質であると再認識させられます。

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