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“猫に学ぶ” (あおばタイムズ 28)

 五月に赤ちゃんが生まれる前、心配していたのが以前から飼っている猫の存在でした。エンゾは福岡に住んでいる時から八年のつき合いですし、三歳になるアメリもすっかりわが家の一員です。それでも小さい赤ちゃんに爪を立てはしないか、足で踏んづけたりしないか…と心配をしていました。キャットシッターの方は「大丈夫です。かえって赤ちゃんの面倒を見てくれますよ。」と言ってくれたのですが、私たち夫婦は半信半疑でした。
 ところがいざ赤ちゃんが生まれてみると、猫たちは赤ちゃんに五十センチ以上近づくことがありませんでした。いつも少し離れたところから、神妙な面持ちで赤ちゃんの顔をのぞき込んでいました。今は猫に興味を持った赤ちゃんの方から手を伸ばして背中の毛をわしづかみにしてしまうこともあるのですが、猫の方はおとなしく、されるがままにしています。
 赤ちゃんが生まれてからというもの、以前ほどかまってあげられなくなった彼らにはストレスも多いかと思うのですが、かけがえのない存在にゆずる姿勢を見せてくれる猫たちは賢いと思います。とくに生まれてからしばらくのあいだ赤ちゃんに見せていた態度は、今思い出しても何か新しい生命に対する敬意に満ちていたように感じられます。
 あのような猫たちの様子を見ていると、動物も人間も、ほかの誰かに教えられなくても初めから本能的なやさしさや思いやりを持っているように思えてきます。
まだ私たち夫婦の子育ては始まったばかりですが、できることならそんなやさしさや思いやりを、息子の内側から引き出してあげるような育て方をしたいと思います。そして息子はきっと二匹の猫との関係を通じて、それらを学んでくれることと思います。

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