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“素直な気持ちで” (あおばタイムズ 16)

 元大関貴ノ花の二子山親方が五十五歳の若さで亡くなりました。私が小学校の頃は輪島・北の湖両横綱による優勝争いが多く、そこに貴ノ花関の必死であきらめない相撲や初の外国人関取であった高見山関の人気が彩りを添えていた時代ですので、一抹の寂しさを感じさせる訃報でした。
 親方の死後、マスコミと私たちの関心はもっぱら二人の息子である勝さんと光司さんの兄弟仲に向けられています。それにしても、今思うとどうしてあれほどの若貴人気というものがあったのでしょうか?おそらく当時、それぞれが個人としての努力を惜しまず、それでいて互いを認め合っているという姿に感動させられたのだと思います。あの頃の二人を思い出しますと、土俵の上では厳しい顔をしていても、土俵を離れ兄弟として私たちの前に並んだ時には何とも言えない“微笑ましさ”を感じさせてくれたものです。たとえ言葉は交わさなくても、二人の間に何か思いやりのような気持ちが行き交うのを、私たちが心のどこかで感じとっていたからではないでしょうか。
 私たちは大人になるにつれて、様々な主義・主張を身に付けるようになります。自分では“これが正しい”と思っていても、人間のあり方にたった一つの正解があるわけではありません。それなのに別の考え方をする人のことを許せなくなってしまうと、時には争いにまで発展していかねません。そしてその最たるものが戦争なのです。
自らの主義・主張はひとまず置いて、子供の頃のような素直な気持ちで他の人と接してみる…そんな態度の大切さを教えられるような気がします。

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“誰にでもあること” (あおばタイムズ 15)

 心療内科でうつ病やパニック障害の方を多く診察していますが、これらは何も特別な病気ではなく、誰にでもそうなってしまう可能性があります。わが国ではおよそ十人に一人の方が一生のうちに一度はうつの状態を経験します。また女性の約二十人に一人の方がパニック障害の症状に苦しんでいます。これらは決して持って生まれたものではなく、様々な要因によって誰にでも起こりうることなのです。
 “自律神経失調”という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、自律神経には活動する時や緊張した時に働く交感神経と、リラックスした時に働く副交感神経の二つの系統があります。これらが交替交代にバランス良く働いているのが本来の姿なのですが、時間に追われるような忙しい状態だと交感神経ばかりが活発になり、その状態が長く続くとなかなかリラックスできないようになってしまいます。最近の自律神経失調の多くはこのような状態から起こり、うつ病やパニック障害の引き金にもなってしまいます。
 昼も夜も関係なく仕事をしたり、誰にも頼らずに家事や育児をこなさなければならない…、そんな現代社会では体調を崩したり精神的に参ってしまうのは無理もないことです。ただ、それをたった一人で悩むことでさらなるストレスを生んでしまうことは避けたいものです。最近はこんな時、上手にカウンセリングを利用される方も多くなってきました。「誰かにこの気持ちを分かってほしい」、「一人では気持ちの整理がつけられない」、「心の病気ではないかと心配」…、様々なケースがあると思いますが、試みにカウンセリングルームを訪ねてみてはいかがでしょうか。

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