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“一生の宝物” (あおばタイムズ 14)

 生まれたばかりの子供が家族に加わって、妻ともども子育てに明け暮れる日々を送っています。赤ちゃんが生まれるとオムツ交換やミルクをあげるので一晩中忙しくなるとは聞いていたのですが、全くその通りでした。以前病院で当直をしていた時も大変でしたが、あまり眠れないのが毎日のように続くという意味ではそれ以上かもしれません。(それでもまだ妻よりは私の方が眠れているのですが…)
 思えば、私たちは幼い頃から予定された時間やスケジュールに合わせて暮らして来ました。保育園・幼稚園から大学に至るまで時間割に従って行動し、大人になった今でも時間で決められた仕事をしながら生活しています。新しい生命の誕生は、そんな決まりきった日常に一石を投じてくれました。先の予測がつかないというのも新鮮な経験です。
 『世界ウルルン滞在記』などの番組で私たちの知らない外国の人々の日常生活が垣間見られることがありますが、家族間の愛情の深さに驚かされてしまうことが度々あります。同時に映像を通じて、今の日本とはちがう時の流れが感じられてくるのです。そしてそれを目にした時、暖かく懐かしいような心持ちになります。
 人間がより良く生活するために時間が利用されるようになったと思うのですが、今の私たちの生活は逆に時間によって支配されているようにすら感じられます。本当に大切な時に時間を忘れてコミュニケーションをとることができれば、それは家族にとって一生の宝物になるにちがいありません。子育ては大変ですが、時間を忘れて夢中で生きるすばらしさを思い出させてくれるような気がします。

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“神の手” (あおばタイムズ 13)

 わが家にテレビの取材が来ました!…といっても主人公は私ではなく、バースハーモニー助産院の齊藤純子さん。副主人公(?)は、まもなく出産を迎える私の妻。五月十八日(水)午後10時48分からテレビ東京で放映される『輝きレディ』という番組で助産師の齊藤さんが取り上げられることになり、妻の出産直前の自宅健診にスタッフの皆さんが取材にみえたのです。その際、夫婦ともに医者である妻と私がどうして病院ではなく自宅での出産を選んだのか?と訊ねられたのですが、齊藤さんの仕事に対する真摯な姿勢とお人柄が大きな理由だと思います。
 よく“安全神話”という言葉を耳にしますが、例えば「病院に任せておけば大丈夫」というのもその一つでしょう。確かに安心して任せられるシステムや設備があるのはとてもありがたいことです。しかし最近起きてしまった大きな鉄道事故や多くの医療ミスを見ていて思うのは、いくら時間をかけ苦労して立派なシステムを作り上げても、それを維持してゆく人間の意識が低ければたちまち破綻してしまう可能性があるということです。“神話”を陰で支えているのは、あくまで個々の意識なのです。
 私の母校には『神の手』という彫像があります。一人の人間が神の掌の上に立って自らの運命を神に委ねてはいるが、なお光を求めて空を仰ぎ、希望を捨ててはいない…そんな姿です。一人であろうと、組織の中にいようと、そのような姿勢で希望を胸に生きられたら尊いことだと思います。

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