“心の扉をノックして” (あおばタイムズ 1)
私が九州大学病院や横浜総合病院で診療を行ってきた心療内科というところは、人間の心と体はお互い密接に影響し合っていて、病気の治療のためにはその両方を同時にケアすることが必要だ-という考え方から生まれたものでした。それは、人間のまるごと全体をみることから“全人的医療”とも呼ばれました。しかし、医学が進歩するにつれそれぞれの医者が扱う専門分野は次第に細かく分かれて行き、時代は全人的医療とは逆の方向へ向かったのです。心療内科でさえ、その例外ではありませんでした。
ところが、インターネットで情報が飛び交う今の時代になって、その様相は変わってゆくきざしを見せています。たとえば病院の側が評価されるランキングの登場など、診てもらう側からの視点が重視されるようになってきました。ランキングの上位を占めるポイントは医者の腕だけでなく人柄であったり、まるで昔の井戸端会議のようです。デジタルで目にする情報の中身は実はアナログで、とても人間的なものなのです。こんな時代にはどうしても手軽な情報に頼ってしまいがちで、実際に足を運んだり、自分の目で確かめたり、といったことがなおざりにされています。
カウンセリングというのは、非常にアナログなものです。前もって予約をし、その場に足を運んで、時間をかけて話をするというプロセスが大切で、そうすることで今まで知らなかった自分に出会えるのです。
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